大門坂から那智の滝へ!世界遺産の熊野古道を歩いたよ!
公開日: 2014/07/24 | 更新日:
和歌山と言えば世界遺産の「熊野古道」。ここに来たら「大門坂」から「那智の滝」までを絶対に歩きたいと思っていました。池袋から夜行バスで和歌山県南紀勝浦に来た私たち、最初に向かったのが、この大門坂です。
外観

2014年7月14日(月)、和歌山県の東牟婁郡にある「熊野古道大門坂」を訪れました。
概要
名称 | |
---|---|
住所 | 649-5301和歌山県 東牟婁郡 那智勝浦町大字那智山 |
観光時間 | 24時間開放 |
電話番号 | 0735-52-5311 (那智勝浦観光協会) |
駐車場 | あり |
ウェブサイト | 那智勝浦観光協会 |
アクセス
徒歩(バス)の場合
「電車」や「高速バス」で紀伊勝浦まで来た人は、「紀伊勝浦駅」の目の前にあるバスターミナルの「熊野第一交通」を目指して下さい。そこでバスチケットを購入します。大きい看板があるので、すぐ分かるはずです。「朝早く来てまだホテルに荷物を預けられない!」という人へ。「高速バス降り場」の施設にある300円のコインロッカーにキャリーケースを預けることができますよ!
「那智方面」というバスが、バスターミナルの真ん中にやってきます。バスは「紀伊勝浦駅」から「那智山」までを往復していて、片道最大620円です。私たちは予定がはっきりしていなかったので、どこでも乗り降り自由の一日往復割引券(1,000円)を購入しました。
バス停一覧は次の通りです。大門坂を歩きたい場合は、「大門坂駐車場前」または「大門坂」で下車しましょう。その間100mくらいの場所にあります。名前がややこしいのですが、「大門坂」よりも「大門坂駐車場前」の方が実は近かったりします。ここで降りると、大門坂駐車場でトイレに入ったり、杖を借りることができたりして便利ですよ。各バス停の場所は上記の地図に記してあるので、ご参考下さい。
- 勝浦駅
- 大門坂駐車場前
- 大門坂
- 熊野古道
- 那智の滝前
- 那智山
下記がバスの公式サイトです。ここで料金や時刻表を確認できます。当日の運行状況も併せて確認できるように、ブックマークしておきましょう。
- 熊野交通バス時刻表
- 熊野交通の公式ウェブサイト。紀伊勝浦駅から大門坂までのバスのタイムテーブル、料金表、運行状況を確認できます。
無料駐車場
観光地図

「熊野古道の地図」です。一本道で、しかも行く先々に案内があるため、道に迷う心配はありません。わざわざ地図を持って行く必要はないと思います。
レポート
「紀伊勝浦駅」のバス乗り場から「大門坂」へ

「ようこそ勝浦へ」の看板がとっても印象的。朝から温泉に入りたくなる気持ちを抑えて、まずは「那智方面行き」のバスに乗りました。左にある「黒あめ 那智黒」の看板はレトロに光り続けています。

出発時間の8時55分。発車したはずのバスが突如止まる。「おう、ごめんなー」と三人組のおばちゃんが乗り込んできます。「これチケットどこで買えばいいの?」「チケットいらんやろ」、急に賑やかになる車内。"遅れてきた人を待って乗せる"、これだけでここが普段過ごしている場所(東京)ではないことを実感。なんだか日常から離れた開放感を感じましたよー。
「大門坂」に到着!記念撮影を忘れずに!

約30分ほどで「大門坂」へ到着!和歌山観光のスタートです。澄みきった青い空と緑の山の景色にテンションが上がる!ここからこの山の中を歩きます。ちなみにバス停は「大門坂駐車場前」と「大門坂」がありますが、どっちで降りても大丈夫です。
まずは最初の記念撮影をしましょう。写真右側にある「大門坂」と書かれた立派な石碑をバックに写真を撮ると、空と山が映っていい感じの写真になります。一緒にバスに乗ってきた人にお願いしちゃいましょう。一人でも石碑の前にカメラを置ける場所があるので時間差撮影も可能でした。
立派な「大門坂」の石碑。「世界遺産」の文字がいいですよね。なんと記念撮影好きな人に優しい石碑でしょう。
山に入る前にまずは脇見をしましょう。いやー、この緑には圧倒されました。「石垣」も立派ですよね。大門坂の石段も立派なんですが、それに劣らず、この石垣も見事でした。
真っすぐに道を歩いていると、鳥居が見えてきます。ここから、周辺にチラホラと文化遺産を紹介する立て札が目立ち始めます。
「南方熊楠(みなみかたくまぐす)」が3年間滞在した大阪屋旅館跡地

「南方熊楠(みなかたくまぐす)」が三年間滞在したという「大阪屋旅館」の跡地。「南方熊楠」は一言で言えば巨大学者。海外を渡り歩いて18もの言語を身に付け、博物学、宗教学、生物学、民俗学など幅広い分野を開拓した和歌山の星的な存在です。
なんでも1つの分野を深く学んでいてそれに関連する分野が出てくると、それも深く学び、またそれに関連した分野を…、とどんどん守備範囲を広げていった恐ろしい人らしいです。顔は伊藤淳史にどこか似ています。

そんな膨大な量の学問を身に付けた「南方熊楠」が、その生涯の中で三年間ほど、今では跡地であるこの「大阪屋旅館」に滞在して那智山の植物の調査をしていたらしいですよ。ちなみにこの大阪屋旅館、民家みたいなので入らなかったんですが、裏側には物凄く立派な庭園があるみたいです。家の人を運良く見かけたらお願いすれば見せてもらえるみたいですよ。
新宮藩(しんぐうはん)の関所跡(十一文関)

「大阪屋旅館跡地」の反対側にある、今では民家のここが「新宮藩(しんぐうはん)」の関所だったそうです。新宮藩というのはこの紀伊地方を納めていた人たちですね。ここは関所で、通行税を徴収していたみたいです。

この関所跡にあるのが、「石造の流し台」と「石造の石船」。ここも民家のようなので、踏み込んで眺めるのは偲びないので立て札の辺りからチラッと撮影しておきました。
ここを渡るといよいよ「聖地」な振ヶ瀬橋(ふりがせばし)

そして赤が印象的な振ヶ瀬橋(ふりがせばし)。この橋が、「俗界(今いる世界)」と「聖域」を「振り」分ける場所だとか。ここを渡ったら「暑いクーラーにあたりたーい」「腹減った早くマグロ食いたーい」「早く白いイルカ見たい」とか色々な雑念を捨てて下さい。

橋を渡るとすぐある巨大な「鏡石(祈り石)」も見逃さないようにしましょう。よく知らないまま祈ったすぐ後にスマホで撮影をし始める見境のない私。
超巨大!幹周り8mを越える「夫婦杉(めおとすぎ)」

いよいよここからが本格的な熊野古道のウォーキングコース。私たちをまず待っていたのは、超巨大な2本の「夫婦杉(めおとすぎ)」。高さが55m以上、幹周りが8m以上の化け物杉ですね。とても「撮影の時は横派」な私のスマホカメラに収まる大きさではありません。
王子は人じゃない!?九十九王子最後「多富気王子跡(たふけおうじ)」

「夫婦杉」から進んで間もなくの場所にあるのが、この「多富気王子跡(たふけおうじあと)」。「王子」というのは星の王子様とかの「王子」ではなく、「儀礼を行なう場所」という意味です。「人」ではなく「場所」のことなんですね。大門坂の「大門」はこの辺りにあったそうです。
「多富気王子跡」は「熊野九十九王子、最後の一社(王子)」とか言われています。熊野にあるたくさんの「王子」を順番に参詣を行なっていく中の「最終地点」ということですね。
ちなみに「九十九(つくも)」というのは、この周辺にかつてあった「王子」の総称で、その数は「九十九(つくも)」の名の通り、99カ所あったわけじゃなく100個以上存在しているそうです。「九十九の方がかっこいいからそうしちゃえ」というわけですな(笑)。なんかそういう風に想像すると堅苦しい雰囲気がなくなってきます。
神秘的な杉並木の古道を歩く

色々な文化遺産もいいけど、最大の魅力はなんといっても、この神秘的な熊野古道の雰囲気そのもの。信仰精神が全くない私ですが、ここが「聖域」とか「神が宿る」なんて言われていることに納得してしまいました。なんというか、「畏れ」という感情を知った気がします。
この立派な石段は全部で267段、約600m続いているそうです。
大門坂を抜けると、休憩所があります。樹々に囲まれた涼しい空間とはいえ真夏。疲れた身体をここで休めましょう。突き当たりを左に行くと休憩施設、右に行くと巡礼コース。左からもコースに合流できるらしいけど、私たちは正規の巡礼コースを歩きました。
那智山は都より山川八十里・往復一ヶ月の日数をかけ踏み分けた参詣道が「熊野道」である。熊野九十九王子としても知られた往古の歴史を偲ぶ苔むした道でもあり、那智山の麓から熊野那智大社への旧参道です。
さようなら、大門坂!

短い間でしたが、熊野古道大門坂のウォーキングは貴重な体験でした。道なりに少し歩いていくと町に入り、そして那智大社への参道があります。那智大社まではあと少し!
写真集
大門坂の入り口にある石碑です。「紀伊山地の霊場と参詣道」「熊野参詣道中辺路」と記されています。
「那智勝浦ロータリークラブ」が寄贈したものらしいです。地主は南方熊楠で有名な大阪屋旅館。
振ヶ瀬橋のネームプレート。観光地のこういうネームプレート、収集したいな〜。
観光客の団体さんがいると、なかなか景色写真を撮影しにくいです(笑)。最初に急ぎ足で通り越しちゃうことをお勧めします。
大門坂の入り口で見かけたアジサイ。
大阪屋茶屋の提灯。
多富家王子の脇。町内には七十三基もの王子があるそう。
夫婦杉の案内。海外の人には「Meoto-sugi」と案内しています。
十一文関跡。その昔、この大門坂の参詣道では通行税がとられていました。
入山心得です。足あとは残していいけど、ゴミを残してはいけません。汗も残していいでしょう。
熊野古道大門坂、杉並木の案内です。こういう案内はその場その場で見るのもいいけど、前知識として備えて行ったら、見える景色も違うかもしれません。
大門坂の山道を抜けたところにあるオブジェ。ブランコではありません。
大門坂を超えた辺りに、休憩所があり、コースが分かれます。私たちは正規の巡礼道を行きました。飲料などが切れたら補給しておきましょう。
休憩所と巡礼道の分かれ道、後者に進むと橋材がありました。あまり印象には残っていません。
個人的な評価
5
熊野古道は大門坂のウォーキング、とっても貴重な体験ができました。写真や動画など、デジタルで簡単に風景をシェアできる時代ですが、あの「神秘的な雰囲気」だけは現地に行かないと味わうことができません。「行った甲斐」を存分に感じることができる観光スポットです。和歌山の世界遺産を堪能するなら欠かせないウォーキング、ぜひ体験して下さいね。