東岳寺-東海道五十三次の安藤広重の墓がある寺

公開日: 2014/06/30 | 更新日:

足立区竹ノ塚駅の周辺は「ラーメン激戦区」としても有名ですが、たくさんの観光スポットもあります。今回は、駅からすぐ近く、足立区伊興にある「東岳寺」を紹介します。あの「東海道五十三次」や「名所江戸百景」で有名な歌川広重の墓があるお寺です。

外観

「南昌山 曹洞宗系単立 東岳寺」の外観
「南昌山 曹洞宗系単立 東岳寺」の外観

2017年5月25日(木)、東京都の足立区にある「南昌山 曹洞宗系単立 東岳寺」を訪れました。

概要

名称南昌山 曹洞宗系単立 東岳寺なんしょうざん そうどうしゅうけいたんりつ とうがくじ
住所121-0807東京都 足立区 伊興本町 1-5-16
拝観時間9:00〜16:00
電話番号03-3899-3790
駐車場なし
創建年1614年

アクセス

竹ノ塚駅からのアクセス

  1. サンクスの手前の道に入る竹ノ塚駅の西口を降りたら、右側を向いて下さい。サンクスがあるので、その手前の通りに左折する形で入ります。
  2. 角にコインロッカーがある突き当たりの角にコインロッカーがあります。道なりに右折して進んで下さい。
  3. 純喫茶エリカ曲がると左側に「エリカ」という喫茶店が見えます。このお店、この竹ノ塚で有名な純喫茶なので遠方から来た人は時間があれば、ぜひ立ち寄ってみて下さいね。
  4. L字の道さて、進んでいくと赤いテントのお店に突き当たります。L字のような形で左側にズレて真っすぐ進んで下さい。
  5. 真っすぐに進む大体1〜2分くらい真っすぐ歩きます。周りには特に何もないのでチャチャッと行っちゃいましょう。
  6. 突き当たりの駐輪場を左折する突き当たりに駐輪場があります。ここを左折して下さい。
  7. 質屋「タケヤ」がある道左側に「タケヤ」という質屋がある通りを右方向に通り抜けて下さい。
  8. 「華屋与兵衛」を目指す右側を向くと「華屋与兵衛」が見えてきます。ここを目指すように進んで下さい。
  9. 横断歩道を渡る「華屋与兵衛」の手前の交差点で横断歩道を使って反対側に渡って下さい。「東岳寺」はもうすぐです。
  10. 「東岳寺」が見えてくる横断歩道を渡ったら右に曲がって真っすぐ進むと左側に「東岳寺」が見えてきます。お疲れ様でした。ここまで駅から約10分くらいです。

レポート

庭園全体を見渡せる360度写真を用意しました。

歌川広重の墓と記念碑

歌川広重の墓
歌川広重の墓

歌川広重のお墓です。ちなみに墓石はオリジナルが残っているのではなく、1958(昭和33)年に修復されたものらしいです。関東大震災で全壊しなかったのは奇跡的ですね。

教育委員会の解説
教育委員会の解説

歌川広重(1797〜1858)は江戸時代後期の浮世絵師で、それまで業界の常識だった浮世絵の画風に、「洋画の遠近法」の技術を取り入れて、風景画、花鳥画で才能を発揮した後、有名な作品「東海道五十三次」で名声を得ました。教科書にも出てくるから知らない人はほとんどいないと思います。この「東岳寺」の存在を知った時は、「そんな人の墓がこんな身近な足立区に…!?」と驚きました。

初代安藤広重墓及び記念碑

安藤広重(一七九七—一八五八)は、江戸時代後期の浮世絵師です。広重は、八重洲河岸定火消組同心の子として生まれ、文化八年(一八一一)、十五歳のとき歌川豊広に入門し浮世絵を学び、歌川の画姓と広重の号を許されました。浮世絵諸派の画風を学ぶとともに洋画の遠近法を加味し、風景画や花鳥画で人気を集めました。また、天保年間に「東海道五拾三次」を発表し、一躍名声を得たことでも有名です。
墓所は昭和三三年(一九五八)の再建で、記念碑は大正一三年(一九二四)に建てられたものですが、昭和五二年に現在地に再整備されています。なお、現在では安藤広重ではなく、歌川広重という呼称が一般的です。

東京都教育委員会

東岳寺の案内板

米国人ハッパーの墓

米国人ハッパーの墓
米国人ハッパーの墓

米国人ハッパー(1863〜1936)の墓。彼は人生の半分以上となる46年もの間、日本に住みながら日本文化と歌川広重の作品を研究し、世界中にその素晴らしさを広めたそうです。歌川広重の作品を愛するあまり、自分のことを廣重(広重)ハッパーと名乗っていたとか。

1936年12月19日に没後、日本文化を世界に広めた功績が認められて、広重と同じ「東岳寺」内に墓が建てられたとのことです。自分が憧れ続けた人のすぐそばに、こうして眠り続けることができるなんて、幸せでしょうね。

米国人ハッパーの石碑
米国人ハッパーの石碑

墓の横にはハッパーの記念碑があって、彼の生涯がどんなものだったかが綴られていました。下記はその引用です。

米國人ハッパーは日本在住四十六年に及ひ世界に日本文化を紹介し深く廣重の藝術に憧れ自ら廣重ハッパーと称す 昭和十一年十二月十九日東京に没す享年七十四 知友相謀り墓を東岳寺内廣重の碑側に建つ

昭和十三年五月世日

東岳寺内、ハッパーの記念碑

花屋久次郎の遺跡

花屋久次郎の遺跡
花屋久次郎の遺跡

左側には川柳で有名な「花屋久次郎(はなやきゅうじろう)」の遺跡があります。東岳寺では毎年2月11日に、1年に1回の「花久忌」っていう川柳の会が開催されているんですが、この「花久」という名前は彼の名前から来ているんです。「川柳人協会」のホームページで「花久忌」で発表された作品が紹介されています。興味のある人は覗いてみて下さいね。

川柳人協会
平成26年度(2014年)に行なわれた花久忌の作品を閲覧することができます。

香月弘為の追悼歌碑

香月弘為の碑
香月弘為の碑

庭園内にある香月弘為(弘美)さん(1936-1958)の碑。本名は小笠原弘恵さんで、宝塚歌劇団月組の元タカラジェンヌ。21歳という若さで舞台で不幸な事故に遭い、この世を去りました。事故の詳細についてはWikipediaに掲載されていますが、内容が衝撃的な故、苦手な人は見ない方がいいかもしれません。

香月弘美
香月弘美のプロフィール、生い立ち、事故の詳細などがまとめられています。

香月弘美(小笠原弘恵)さんのお墓は、庭園とは別の、東岳寺の墓地スペースにあります。墓地へは、お堂の階段をくぐって行くことができます。入って七列目の右側手前にある「小笠原家」の三つの墓石の下に、香月弘美さんは眠っているようです。

香月院弘誓美恵大姉
芸名 香月弘美
俗名 弘恵
行年 二十一才
昭和三十三年四月一日 宝塚大劇場の舞台にて事故にて死す

東岳寺内、小笠原家の「墓誌」

「墓誌」によると、母親の小笠原春子さんは昭和五十六年九月一日(73才)、父親の小笠原弘次郎さんは平成三年七月二十七日(85才)で逝去されたようです。また、昭和十七年一月十四日、小笠原信弘くんが「行年 当才」という記載より、1才に満たない年齢でこの世を去っているようでした。

お墓参りの際、こうして墓誌を見て、色々と想像させられるものがありました。自分が生まれていない間に、1つの家族の一生が過ぎて行ったことを思うと、現実の時の流れから離れた不思議な気持ちにさせられます。

柳原白蓮の追悼歌
柳原白蓮の追悼歌

歌碑には、歌人、柳原白蓮(1936-1958)の追悼歌が刻まれていました。

めになみだ こよいは月のなきものを 香ふさくらが うすあかりせり

東岳寺内 香月弘美の碑
柳原白蓮
柳原白蓮のプロフィール、生い立ち、代表作品などがまとめられています。

一日だけの広重展

2015年9月6日に行なわれた「一日だけの広重展」
2015年9月6日に行なわれた「一日だけの広重展」

普段はほとんど誰もいない寺。そんな寺が多くの人で賑わう珍しい日が毎年9月6日に行なわれる「一日だけの広重展」。2014年に続き、2015年も観覧に行ってみました。

  • 「一日だけの広重展」は今年で16回目9月6日は安藤広重の命日。この日に広重の法要が行われ、多くのファンの方が「東岳寺」に集まります。この「広重展」は広重会という愛好家で形成されたグループが開催しているそうです。2015年で、16回目の開催です。この写真は2014年のものですが、2015年もほぼ同じ風景でした(笑)。
  • 「一日だけの広重展」の入り口案内板などがなく、初めて行く時は不安ですが、お堂の中に入って右側の部屋が展覧会の会場です。受付などはないので、勝手に入っちゃって大丈夫です。スリッパはありません。
  • 「一日だけの広重展」 会場の様子 その1広重展の会場の様子です。特に堅苦しい手続きなども必要なく、一人で来る人、友人と来る人たちなどが好きなように入っては眺めて、出て行きます。居心地がいいので、興味のある人は気軽に訪れてみて下さい。
  • 「一日だけの広重展」 会場の様子 その2壁一面に、広重の絵画が飾ってあって、中央にはソファがあり、ゆっくりと作品を眺めたり、談笑できます。
  • 横川彫竹の「広重」歌川広重の版画。横川彫竹という彫り師の作品みたいです。
  • 歌川広重の生涯作品とともに、このようなコンパクトな解説があるので、予備知識がない人でも楽しむことができます。
  • 「一日だけの広重展」の作品様々な作品がある中、こんなシーンがありました。雪の作品なのですが、昔の雪だるまはウサギだったのでしょうか…。
  • 広重の墓に人々が手を合わせていったみなさん、まずは東岳寺に入ってすぐ左側奥にある「広重の墓」へ。行列を作って、次々と手を合わせる人たちの図が印象的です。広重を愛する全国の人たちが一日だけ集まる。広重とは何の関係もない他人ながら、感慨深いものがありました。

「一日だけの広重展」を取り上げている個人ブログの記事を集めてみました。…といっても、なかなかありませんでしたが。

写真集

  • 庭園「東岳寺」はとっても小さなお寺です。なので観光時間は10分もいかないはず。それでもその間は、周辺の騒がしい都会の環境から隔絶された、寺内の静かな空間で心を癒せると思います。悪く言えばごちゃごちゃで殺風景、よく言えばコンパクトに文化遺産が詰まっている庭園です。
  • 四阿庭園の奥には「四阿(あずまや)」があります。庭園が狭いから中に入るのが大変だけど、腰をかけて休んでみてはいかがでしょ。とても狭いので優雅にお茶を飲むなんて風景は想像できませんが、違った景色が見えるはず。
  • 四阿から見た池こちらが四阿から見てみた池の景色。庭園の池っていいですよね。
  • 池池では鯉が元気に泳いでいます。
  • 弁天堂庭園の中にある弁天堂。この東岳寺の庭園は、本当に色んなオブジェが揃っていて飽きません。中には、像があるみたいです。
  • 石細工石細工。
  • 狛犬鼻が折れてしまった狛犬。ちょっと痛々しいですが威厳はそのまま。
  • 風鈴この写真を撮影した時の訪問は11月だったんですが、時期外れな風鈴が音を立てていましたよ。夏には美しい音色が心地良さそうですね。
  • 伊興町散歩東岳寺のある伊興町は、お寺の名所で、多くの文化財が存在します。これは東岳寺の入り口前にある案内です。伊興寺町でお散歩などいかがでしょう?
  • 入り口の石碑東岳寺の山門(入り口)に立てかけられている石碑。東京都の指定旧跡「初代安藤広重墓及び記念碑」と書かれています。
  • 門構え東岳寺の門構え。夕方くらいまでは開いています。

個人的な評価

5

移転や再建などを経ながら残った貴重な文化財を堪能することができます。とても狭い寺で回るのに10分もかかりません。浮世絵やお寺に興味のない人からしたら、わざわざ遠方から電車とかで行くほどの場所ではないかもしれませんが、近くに来た時はついでにちょっとだけ寄ってみるのをお勧めします。