白旗塚史跡公園-竹の塚に唯一残る貴重な古墳!
公開日: 2014/07/04 | 更新日:
足立区竹ノ塚駅のすぐ近くにある伊興町。この地域一帯は「伊興遺跡」という名で知られ、多くの古墳がありました。今回はその中で、この地に残る唯一の古墳を抱える「白旗塚史跡公園」を紹介します。
外観

2014年7月3日(木)、東京都の足立区にある「白旗塚史跡公園」を訪れました。
概要
名称 | |
---|---|
住所 | 121-0801東京都 足立区 東伊興 3-10-14 |
電話番号 | 03-3880-5853 (足立区観光交流課) |
駐車場 | なし |
アクセス
竹ノ塚駅からのアクセス
竹ノ塚駅からの近道を紹介します。徒歩で余裕を見て10分ほどです。西口を出て、サンクスとパチンコ店の間の道に入って下さい。
突き当たりにコインロッカーがあるので、右に曲がって下さい。
純喫茶「エリカ」が左側に見えますが、通り過ぎて真っすぐに進んで下さい。
突き当たりの交差点を、右に曲がって下さい。
すると正面に線路が見えます。緑色の看板が目立つ不動産屋さんの手前の道に入って下さい。
あとはしばらく、道を真っすぐに進みます。
住宅街に入っていきますが、そのまま真っすぐに進みます。
住宅街を抜けてすぐの交差点を、右に曲がって下さい。
コインパーキングを目印にしましょう。突き当たりの道を左に曲がって下さい。
線路の左隣の道を進んでいることになります。このまま真っすぐに進みましょう。
「竹の塚ヒフ科」を左手に見えますが、そのまま通り過ぎて真っすぐに進んで下さい。
やがて、「白旗塚史跡公園」が左側に見えてきます。お疲れ様でした。基本的に線路が隣に見えているので、帰りに迷うということはないと思います。
レポート
公園全体の雰囲気を確認できるように、360度写真を用意しました。
埴輪

公園内の一画には、埴輪のオブジェが4体あります。兵士、馬、家、そして船です。古墳を抱える公園らしい演出ですねー。この埴輪は、私が小学生の頃からあったので、20年以上、立ち続けています。
兵士と家の埴輪です。表情がなんともいえずコミカルでゆるキャラ風。これは子ども向けのものなんでしょうね。この埴輪、いつ見ても綺麗です。メンテナンスがしっかりされているんですね。
こちらは別角度から。後ほど紹介する「白旗塚の歴史」の石碑を取り囲むようにして立っています。
埴輪は公園の南西部、樹々で囲まれた場所にあります。
後ろから撮影してみた写真です。
風土記「白旗塚の歴史」

埴輪に取り囲まれるようにして、「白旗塚の歴史」を載せた石がありました。こちらは現代訳文です。当時の物語を読んでみるのも面白いものです。子どもの頃はこういったものに全く興味がありませんでした。うーん、もったいない。
白旗塚(現代訳文)
「伊興村の東の方にあり、この塚があるために、このあたりを白幡耕地と名づけている。塚の免税地二十二歩(約七二平方メートル)は村人の所有である。むかし、八幡太郎源義家が奥州征伐の時、この所に白幡をなびかせて、戦いに勝ったことがあるということでこの名を伝えたという。もともと神社地で祠もあったが、この塚に近寄ると良くないことが起るといって村人はおそれて近寄らなかったために、祠はすたれてなくなってしまった。また、塚の上に古い松の木があったが、のちに立枯れて大風に吹き倒され、根の下から兵器などが数多く出た。その時村人が何事かと見て、その兵器の中からまだ鉄性を失っていない刀剣を持ち帰って家にしまったが、このための祟りであろうか、一家がみな大病にかかって苦しんだので、おそれをなして元のとおり塚下へ埋めて、印に松を植え継ぎしたという。塚の上の二株がこれだという。いま土地の人は、この松を二本松と呼んでいる。太さ一かこい半ばかりである。」
文中にある二本松は枯れ、六本杉となり、また松の木八本に植えかえられて今日に至っている。昭和五十年二月六日、東京都史跡に指定された。

現代訳文の裏には、オリジナルの古文(風土記)が載せてありました。現代訳文と照らし合わせると、立派な古文の勉強になりそうですね。学校でも、こういった地域の身近な題材を取り上げれば、子供達も興味を持ちそうな気がします。
新編武蔵風土記稿
白旗塚(伊興村)東ノ方ニアリ此塚アルヲ以テ白幡耕地ト字セリ塚ノ除地二十二歩百姓持ナリ上代八幡太郎義家奥州征伐ノ時此所二旗ヲナヒカシ軍勝利アリトテ此名ヲ傳ヘシ由元来社地ニシテ祠モアリシナレト此塚二近寄ハ咎アリトテ村民畏レテ近ツカサルニヨリテ祠ハ廃絶二及ヘリ又塚上二古松アリシカ後年立枯テ大風二吹倒サレ根下ヨリ兵器共敷多出タリ時二村民来リ見テ件ノ兵器ノ中ヨリ未タ鐵性ヲ失ハサル太刀ヲ持帰テ家二蔵セシカ彼祟ニヤアリケン家起リテ大病ヲナヤメリ畏レテ元ノ如ク塚下ヘ埋メシルシノ末ヲ植継シ由今塚上ノ両株是ナリト云今土人コノ松ヲ二本松ト號ス太サ一囲半許
秋の七草と短歌

「秋の七草」の実物が展示されています。
公園の順路に沿うように設置されているので、自然と目がいってしまいます。夏は蚊が多いのでアレですけど、涼しい時期なんかにはベンチに座って読書でもしたいですねー。
身近な「朝顔」も、「秋の七草」の1つです。訪問した頃は、柵の中で咲き誇っていました。
それぞれに、関連した短歌が掲示されていて、これを読んでまわるのも乙なものです。朝顔は現代名で「キキョウ」なんですねー。この年になって初めて知りました。
こちらが「秋の七草」の一覧と、それぞれの短歌です。
公園内を歩いていると、地面に小さい置物があります。「何かな?」と見てみると…
短歌が掲示してありました。この掲示物は、園内のところどころにあるので、探して見てまわるのも面白いかもしれません。
古代文字

この公園は歩きながら、無意識に学べる、子どもにとっても良い場所かもしれません。公園に入るとすぐにあるのが、石のオブジェ。東西南北の方向を文字と共に示しています。「南」と書いてあるすぐ上にある記号は、古代文字の「南」らしいです。古代文字がどんなものだったのか、興味に繋がりそうですねー。
白幡塚古墳

この公園のメインとなるのが、園内の中心にあるお堀、その中にある貴重な「白幡塚古墳」です。
古墳が守られるように、周りが水で囲ってある「お堀」。存在感があります。
お堀を見てみると、巨大な亀が泳いでいました。ここの主でしょうか?他にもアオスジアゲハやトンボなど、都会では見かけない珍しい生きものがたくさんいました。
こじんまりながらも、威風ある入り口。
当然なんですが、中に入ることはできません。外から遠目に眺めることだけが許されている状態。
古墳を取り囲むように立派に生えた樹々。「白旗塚の歴史(現代訳文)」によると、当初あった二本松が枯れ、六本杉となり、さらに松の木八本に植え替えられたようです。古墳の威厳を表しているよう。この樹々は野鳥の「オナガ」のテリトリーになっているようで、もう日中ピーチクパーチクと騒いでいます。「オナガ」は都内では中々見かけないので、貴重かもしれません。
中心部を撮影したもの。ここには「白幡大神様」が祀られているそうです。
写真集
公園脇には駐輪場があります。範囲内ならば、自転車でのアクセスがお勧めです。
この地域でスタンプラリーが開催されていて、この「白旗塚史跡公園」はコースの1つ。ちなみに、スタンプラリーのカードは、ここから歩いて10〜15分ほどの距離にある「伊興遺跡公園」で配布されています。
スタンプラリーコースの全体マップです。足立区の歴史を知る旅にもなるので、一日の運動、散策がてら、挑戦してみてはいかがでしょうか。
公園内には、川が流れています。景色は美しいのですが、流れは思いの外、激しいので、小さいお子様を連れて行く時は浅いといえど要注意です。
私が子どもの頃、この池でビシャビシャやりながら遊んでいた記憶があります。
水と緑の光景。すぐ周りが車だらけの町中、すぐ隣が線路だということを忘れさせてくれる光景ですね。
資料集

かつてこの地域には7つの古墳からなる「白旗塚古墳群」が形成されていたが、現存するのは、この「白旗塚古墳」だけ。古墳があった場所から出土した埴輪の形状から、築造は6世紀だと推定されているそうです。「白旗塚」という名の由来は、かつて源頼義、義家の親子が奥州安倍氏の反乱(前九年の役)の鎮圧に向かう途中、この地域に「白い旗」を立てたことだそうです。
白旗塚古墳
この付近の毛長川南岸の自然堤防上には、擂鉢塚古墳、甲塚古墳、白旗塚古墳など七基からなる白旗塚古墳群が形成されていたとされますが、現存するのは白旗塚古墳のみです。足立区教育委員会が擂鉢塚山古墳や甲塚古墳の推定地域を調査していますが、確認までには至っていません。擂鉢塚古墳から出土したとされる馬形・円筒埴輪から、白旗塚古墳群の築造は六世紀と推定されます。
白旗塚古墳は直径一二メートル、高さ約二・五メートルの円墳ですが、未調査のため主体部の構造や古墳の年代はわかっていません。白旗塚という名の由来は、源頼義、義家父子が、奥州安倍氏の反乱(前九年の役)の鎮圧にむかう途上に、この地に白幡を建てたためと言われています。東京都教育委員会
個人的な評価
4.8
家の近所だからよく通る公園なんですが、本格的に見て回ったのは数年ぶり。改めて思ったのは見どころたくさんだなーということ。正直なところ、特別興味のない人が遠方からわざわざ、車や電車で来るような立派な観光地ではありません。
逆に「歴史」や「公園巡り」が趣味だという人は来て損はないと思います。この公園以外にも、周辺には「伊興寺町」といわれるほどのたくさんのお寺があるので、観光に困ることはありません。あの「東海道五十三次」で有名な初代安藤(歌川)広重が眠る「東岳寺」もここから10分ほどなので、併せて見学してみてはいかがでしょうか。