鬼押出し園@群馬-一面、岩石の別世界!溶岩アートを楽しもう!
群馬県は嬬恋村にある「鬼押出し園」を訪れました。なんといっても見どころは、自然の脅威を思わせる溶岩石の数々。「溶岩石のアート」と言われる、その圧倒的な光景に目を奪われます。
外観

2015年5月15日(金)、群馬県の吾妻郡嬬恋村にある「鬼押出し園」を訪れました。
概要
名称 | |
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住所 | 377-1524群馬県 吾妻郡嬬恋村 鎌原 |
見学時期 | 4月〜12月 |
開放時間 | 8:00〜16:30 |
電話番号 | 0279-86-4141 |
駐車場 | あり |
開設年 | 1963年 |
ウェブサイト | 公式サイト |
アクセス
車でアクセスする場合、上信越自動車道の「碓氷軽井沢I.C.」、または「小諸I.C.」から中軽井沢、鬼押ハイウェーを経由して約50分ほどです。施設には750台分の無料駐車場が用意されています。電車、バスでアクセスするには、しなの鉄道の「中軽井沢駅」、新幹線の「軽井沢駅」、吾妻線の「万座・鹿沢口駅」を利用しましょう。いずれの駅からも、西武高原のバスで約50分ほどです。下記の時刻表をご参考下さい。コースは「白根火山・万座」です。
- 西武高原バスの時刻表
- 西武高原バスの公式ウェブサイト。路線図と時刻表を確認できます。下車するバス停は「鬼押出し園」です。
観光地図

鬼押出し園の、園内マップです。コースは単純な一本道ではありません。興味のあるスポット、自分の体力など、バランスを考えて選択して下さい。一番遠回りすると、ゆっくり歩いて大体1時間くらいでした。個人的に見逃したくないスポットは「石割りの松」「浅間山観音堂」です。
レポート
浅間山

この鬼押出し園は、天明三年(1783年)に、浅間山の大噴火で溶岩まみれになった跡地を、供養の地、観光地化したものです。
園内の観光では、様々な形に固まった溶岩を楽しむことができます。その前に、入り口付近にある望遠鏡で、浅間山を見てみて下さい。小屋のような巨大な岩石が見えます。
先ほどの山の写真を拡大したものです。頂上付近に見えますよ。
鬼押出し園の「鬼」とは?

そもそも鬼押出し園は何故、「鬼」と言われているのでしょうか?名称もそうだし、園内のいたるところに、このようにオブジェが飾られています。
その由来は「上州浅間嶽虚空蔵菩薩略縁起」という史料で知ることができます。当時は浅間山に鬼が住んでいると言われていて、ある日村人が、鬼が噴火を引き起こして溶岩を押し出している姿を見かけ、話したことで、それがクチコミとして広がり、ここが「鬼押出し」と呼ばれるようになったそうです。
鬼の口から顔を出して、浅間山を背景に記念撮影!
これは拷問なのでしょうか?ベンチの両端に倒れている鬼たち。座りにくい(笑)。
岩の間にちょこんと立っている小さい鬼。表情がなんとも言えず憎たらしい(笑)。
岩だらけの景色

鬼押出し園の入り口です。果てしなく広がる岩の数々に圧倒されることでしょう。さすがにこの灯籠は人工物ですが、その他の岩石は全て自然が作ったものです。

入り口付近で紹介されていた、園内の奇岩一覧です。サザエさん岩、モアイ岩など、面白い形の奇岩だらけです。君はいくつ見つけることができるかな?
岩だらけの写真を見ると歩けるか不安になってしまうと思いますが安心して下さい。このように遊歩道は整備されていて快適に歩くことができます。坂道もそんなにありません。
「要岩石のアート」と表現される、この無数の岩の数々。まさに芸術の一言ですね。シャープな表面が美しい…。
奇岩を色々と探してはみたんですが全然見つからず。写真の中で、唯一、表に載っていたのが、このモアイ岩です。真ん中のもそうですが、右側にあるのもモアイになってますねー。
これは表に載ってなかったのですが、右側の岩が、地面から顔を出して空を見上げているように見えませんか?人面岩として報告したら一覧に載せてくれるでしょうか?
炎観音

左回りコースで最初に訪れたスポットが、この観音堂奥の院にある「炎観音」です。入り口から歩いて程なく、建物が見えてきます。
こじんまりとしたスペースですが、その中には立派な観音菩薩が祀られています。
大噴火の被害は麓の嬬恋村(旧鎌原村)だけでも483名の死者を出すほど甚大なもの。四方八方に広がる岩石の数々を見れば、被害がどれほどのものだったかを想像できると思います。1958年には、死者を供養するための浅間山観音堂(後で紹介)が建てられました。そこを訪れた仏教徒の神成志保が、夢枕で「観音菩薩を建立せよ」との言葉を仰せつかり、この炎観音菩薩を寄進したそうです。観音堂とは離れたこの「奥の院」に菩薩は祀られることになりました。

こちらがその炎観音菩薩です。神成志保、澪子親子が、全身全霊、三年の月日をかけて完成させたものです。この地に眠ることになった人々の供養となったことでしょう。
ヒカリゴケ

鬼押出し園には岩石にヒカリゴケが生えています。「ヒカリ」という名称の由来は、光る姿にあります。自身が光るのではなく、レンズ状の細胞が周囲の光を反射することで光っているように見えるそう。岩陰のコケが光って見えることもあるそうですが、当日は残念ながら光る姿を見ることはできませんでした。
この鬼押出し園、夏の一定期間は夜のライトアップを楽しむことができるようです。ヒカリゴケもそのライトアップを反射するようにして光ったりするのかしら?
ヒカリゴケは学術上、貴重な存在だそうです。文化財保護法によって天然記念物に指定されている地域もあるとか。カビと同じで生命力はべらぼうに強いのかと思っていましたが、環境によっては簡単に死んでしまうか弱い生物らしいです。
植物群生地

鬼押出し園は岩石の風景に目を奪われがちですが、植物の生命力にも注目してみて下さい。凄いですよね、このシャクナゲの生い茂る姿。
溶岩で埋め尽くされた地を再生させるように、様々な植物が生えています。こちらはピンクの色が美しいツツジ。
途中にあった見晴し台から観る風景は、もはや岩石ではなく、緑の風景となっています。
歩き始めは岩石だらけの風景が、いつの間にか花々で彩られているのが面白いんです。
岩の僅かな隙間を抜けて伸び続ける緑の樹々。この小さい木は「新しい命」を連想させます。
石割の松

私は岩石の中、力強く育つ植物の姿を「被災からの復興」というイメージで捉えていたのですが、その象徴とも言えるスポットがこの「石割の松」です。
供養塔

こちらは供養塔。浅間山の大噴火に被災し、亡くなった方々を供養するためのものですね。
浅間観音堂天明大爆発横死者總霊塔祭文という石碑。このあとに訪れる「浅間観音堂」と一緒に建てられたものです。人類の何パーセントかは天災を免れない。免れて生きる私たちは、身代わりとなった横死者たちに全身全霊で感謝し、生きていかなければいけません。
供養塔のある風景。岩石の下からは、樹々が生まれ、力強く育っています。これらはまるで、被災から立ち直る地域の様を表しているよう。
塔には「天明爆発横死者霊塔」の文字。横死者とは、天災により亡った者という意味です。
供養塔は、鬼押出し園の高いエリアの、さらに山の上にあります。供養塔の見学の他、景色を観るために登るのもオススメです。近くの見晴し台よりも絶景です。
鐘楼堂

「心洗」という文字が書かれた鐘楼堂。鬼押出し園の中心部に、観音堂と共に位置するスポットです。
文明、医療の発達した現代において解決できない問題の1つが、人の心。鐘の音は、邪念を追い払い、報恩感謝の善根公徳の心をもたらしてくれるといいます。善根とは善い行ないの種、公徳とは社会をよくするための道徳ですね。
利用は自由です。ぜひ、鐘を鳴らしていきましょう。
浅間山観音堂

私たちが鬼押出し園の中で最後に訪れたスポットが、この「浅間山観音堂」。これだけ見ると何の変哲もないお堂ですが…。
このように周りは全て岩石で囲まれています。岩山の中にあるお堂なんですね。まるでいつかのRPGの中の世界みたい。
浅間山の大噴火で亡くなられた精霊を弔うために、提康次郎が1958年に建立したのが、この浅間山観音堂。
このように、卒塔婆や地蔵がありました。
観音堂の風景です。中には厄除けの観世音菩薩が祀られています。
お堂の周りの景色。とても高い位置にあり、その眺めは絶景です。高所恐怖症気味の私は厳しかった…。
こちらがその眺め。奥に小さく見える建物は、入り口にある「展望レストラン」です。
観音堂と鐘楼堂は橋で隔てられています。観音堂から、鐘楼堂を見た風景。どこもかしこも趣のある風景ですね。
観音堂近くにある、茶屋的な売店。ベンチに座って、ソフトクリームや、おやきを食べられます。
画碑

道の途中にあった画碑。小山敬三という人の作品です。新高輪プリンスホテルのロビーにある「紅浅間」という巨大な壁画作品も彼のものです。
約200年前に、噴火によってこの地に災いを引き起こした浅間山。その激しさ、力を内に秘め、あたたかく包んだ様子を表現しているとのこと。
少年時代から画家を目指して、あの島崎藤村に勧められてフランスで絵画を勉強したそう。信州で育った彼の心を育てたのは、この浅間山の雄姿だと言います。
展望レストランでランチ

鬼押出し園の入り口には、大きな休憩施設があります。その名も「展望レストラン」。食事場所が決まっていない人は、園内を一周した後に立ち寄ってみましょう。
名物の「浅間噴火カレー」。ご飯が浅間山で、卵とケチャップで溶岩を表現しているそうです。キャベツが群生植物で、唐揚げは岩石ですね。記念に食べてみてはいかがでしょう!?
施設内でなく、このようなテラスでも食事をとることができます。ただ、席が真ん中過ぎてあまり景色が楽しめないかも(笑)。
こちらが柵際から眺めた景色。いや〜、何度見ても爽快!
私たちが入ったのは1階にある「鬼火山」。ラーメン屋さんですが、それ以外に小腹に入れるくらいのものも注文できます。
この日は他で食事をしたため、機会がなかったのですが、ラーメンのメニューは鬼押出し園にちなんだものが多く、興味がありました。
「ちょこっと休めればいいや」ということで、アイスだけ購入しました。これは、この地方で販売されているアイスなのかな?
こちらはおやき。熱々の饅頭の中に野沢菜が入っているイメージですね。すぐ隣で電子レンジでチンしてたので味気なかったですが、これ自体は美味しかったですよ〜。
中身はこんな感じ。おやきは、この鬼押出し園から近い長野県で生まれたと言われます。この辺りの売店では必ずと言っていいほど売っている食べ物ですね。
個人的な評価
5
ここだけでしか見られない「岩石の芸術」を存分に楽しむことができました。大自然のゴツゴツっとした荒々しい岩石の中を、整備された遊歩道で進んでいく贅沢さ。行く前は岩石だけで退屈しないかなーと心配に思っていましたが、それも杞憂でした。石割の松、観音堂、画碑、浅間山の歴史など、他にも見どころはたくさんありましたよ。
私たちが行ったのは5月だったので、ツツジのピンクが印象的でした。夏には緑、秋には紅葉の赤、そして冬には雪に染まった白と、四季によって違った色の景色があるので最低でも4回は行く価値がありますね。