荒船風穴@下仁田-見える冷風って何!?奇跡の光景を見てきたよ!
群馬県は下仁田市にある、ちょっとマイナーな観光スポット「荒船風穴」。6〜9月の偶然が重なった10分程度の間でしか見られない、「見える冷風」を目にすることができました!!
外観

2015年7月10日(金)、群馬県の甘楽郡にある「荒船風穴」を訪れました。
概要
名称 | |
---|---|
住所 |
公式サイトで紹介されているのは、町役場の住所です。 |
見学時期 | 4月〜11月 見頃は6月〜9月です。 |
見学時間 | 9:30〜16:00 |
電話番号 | 0274-82-2111 (下仁田町役場) |
駐車場 | あり |
開設年 | 1904年 |
ウェブサイト | 公式サイト |
アクセス
車でのアクセス
「荒船風穴」には車でアクセスするのが最適です。有名スポットの「神津牧場」から約1〜2kmほどの距離で、無料の専用駐車場があります。ナビに目的地を入力する場合は「神津牧場」を設定し、周辺にある看板を便りに荒船風穴まで行くのがスムーズでしょう。
自家用車やレンタカーがない人は、観光タクシーがオススメです。下仁田駅から出発する「荒船風穴コース」を利用しましょう。手続きなしで受けられる町の助成金(2,000円)があるので、4,000円から、ツアーに参加することができちゃいます。
- ジオパーク観光タクシー
- 下仁田町が手がける、荒船風穴や神津牧場を含んだ観光ツアーです。タクシーには1台につき、4名まで乗車することができます。
駐車場から荒船風穴まで
レポート
荒船風穴の見どころは「見える冷風」です。係員さんの説明によると、自然の条件が重なった十数分の間だけ目撃できる奇跡の光景だそう。今回、神津牧場のついでに訪れたら運良く見ることができちゃいました。
駐車場から荒船風穴までの道のり

気楽な気持ちで来た私たちを待っていたのは、約800mほどの坂道。こんな風にくねくねーっとした一本道の下り坂を延々と歩くことになります(笑)。
山道には熊が出没する可能性があります。くれぐれも、注意して歩いて下さいね。ただし、2015年7月に訪れた際に係員さんに聞いてみたところ、「今年(2015年)は目撃例がありません」とのことでした。
山道の景色も悪くありません。立派な杉の樹々でも見ながら歩きます。
実はこの山道の途中にスポットがあるので見逃さないで下さい。途中あたり、右側に「冷風体験スペース」と書かれた小さい看板が建ってます。
すぐ前にある穴に手をかざしてみて下さい。信じられないほど冷たい天然の風が吹き出ているのが分かります。これは爽快!7月の30度くらいある日に訪れたのですが、10分くらいここを動けませんでした(笑)。
冷風体験スペースを過ぎて少し歩くと、「世界遺産」の文字が見えてきます。
単体というわけではなく、「富岡製糸場と絹産業遺産群」の中の1つが、この「荒船風穴」というわけですね。
自動販売機などある休憩スペース。目的地まであと少しなので行きは用がないかもしれません。帰りに上り坂を行く前に休む場所としてうってつけですね。
ということで、受付まで到着。あとは歩く必要ないので安心して下さいね。入場料は大人1名につき500円です。
荒船風穴の歴史

荒船風穴は5分くらいでまわれるくらいの、こじんまりしたスペースです。受付を終えると、入場する前に係員さんが風穴の歴史を案内してくれます。
「荒船風穴」は明治時代に天然の冷風を利用して「蚕(かいこ)」を貯蔵していた施設です。
「荒船風穴」を建設したのは、地元、養蚕農家の庭屋静太郎という人。天然の冷気を利用した風穴技術で、それまでは年に1回しかできなかった養蚕を、年に複数回できるようにし、蚕繭の増産に歴史的な貢献をしました。その「技術革新」が、世界遺産群の1つに選ばれた理由と言えます。
その収納量は日本最大規模で、周辺だけではなく遠方とも取引があったといいます。もちろん、「富岡製糸場」もその中に入っています。
立ち並ぶ石積みの上にかつての貯蔵施設があったといいます。施設は残っていませんが、風穴内で流れる冷風は当時のものと変わりません。つまり、「体感できる史跡」という、とても貴重な場所なんです。
天然の冷風を体験!!

真夏なのに嘘みたいに涼しい空間。荒船風穴の石積みの間からは、季節を忘れてしまうような天然の冷風が流れ続けています。
大きな風穴は、1〜3号までの3カ所あります。奥に行くにつれて、温度は下がっていきます。
設置してある温度計をぜひ見て下さい。この日の気温は30度。荒船風穴の観光スペースはなんと16度でした。この冷気がいかに質の高いものかが分かりますね。
各風穴に近寄ってみると、その冷気を体感することができますよ。この風穴を家に設置できたらと真剣に考えてしまいます(笑)。
そして一番奥にあるのが、1号風穴。一番気温が下がる場所。運が良いと冷風そのものを見ることができちゃいます。
冷風をその目で見よう

そしてこの日、私たちは奇跡を目にしました。「涼しい空間、奥まで行って帰ろうか〜」などとぼんやりと歩いていると、奥からスタッフの人たちが「早く来て、早く来て」とソワソワしています。「何事?」と行ってみると驚きの光景が。なんと、冷風が見えているんです。このように、スマホのカメラでも簡単に映せるくらいにはっきりと。
スタッフの人が横で丁寧に説明してくれているのですが、思わず見とれてしまったり、カメラで撮影するのに夢中だったりして全然耳に入ってきません(笑)。これはこの夏一番貴重な光景でした。

仰々しい光景。この「見える冷風」は、荒船風穴の地形、地質の好条件が重なることで生み出されたものだそう。冬の凍土がこの時期まで残り溶けて冷気となり、そして陽が照り、気温と湿度の条件が合って周辺がよい感じに暗いことで見えるようになるとのことです。

「1日の中でも10数分程度の間しか見られない光景」とスタッフさんが話していた通り、冷風はこのように、すぐに見えなくなってしまいました。実は、この荒船風穴に来るのは予定外(神津牧場の後に時間が余った)だったので、運の良さを感じました。正直、この日のメインだった「こんにゃくパーク」「神津牧場」よりも圧倒的に印象の強い場所になりました。
個人的な評価
5
「見える冷風」を目撃できたら文句なしの5点、目撃できなければ4.5点といったところでしょうか。それだけ「見える冷風」は素晴らしい光景です。そのうち、ナニコレ珍百景でも特集されるでしょう(笑)。ただ、難点なのが「行っても見られるかどうか分からないところ」です。これにはスタッフの人も頭を悩ませていました。
「ホームページとかである程度の予報はできないのですか?」と素人ながらに聞いてみたのですが、「微妙な条件が重なって、しかも短い時間でしか発生しないから悩んでるんです」とのことでした。直近に電話で「今日の条件はどんな感じですか?」と問い合わせしてくれるのは歓迎と言ってましたが、もちろん、保証はできないことを留意しましょう。
誤解のないように加えておきますが、たとえ目で見られなくても、冷風は存在しているので体感できます。蚕繭の生産業に歴史的な技術革新をもたらした天然の冷風が、現代でも遺っていて体感できるのはとても貴重で魅力的です。夏だったら「夏なのにこんなに涼しいぜ〜」な別世界を体感できちゃいますよ〜。「富岡製糸場」「神津牧場」などといったメジャーなスポットからも近いので、ぜひ、一度行ってみて下さいね。私は行って本当によかったです!